セロトニンとメラトニンの違い、セロトニンの分泌を高める3つの対策
質の良い睡眠を得るために必要不可欠であるとされるホルモンに「セロトニン」と「メラトニン」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
まずは、その違いについてお話いたします。
セロトニンとメラトニンの違い
セロトニンとは?
セロトニンは脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料で、気持ちを明るくしたり、精神状態を安定させたり、脳を活発に働かせて頭の回転を良くさせる脳内物質です。また、筋肉に働きかけてよい姿勢を維持するなどの作用もあります。
ストレスに対して効果があり、自然体内でに作られるもので、構造自体は精神安定剤と似ています。
セロトニンはメラトニンの原料になる、睡眠とは切っても切れない大切な物質で、日中にセロトニンが活性化していると、夜暗くなるとメラトニンに変わり、体温を下げて熟睡へと導きます。
つまり、良い睡眠を得るためにはメラトニンが必要ですので、そのためには、その原料となるセロトニンを日中にしっかり作っておかなければならないわけですね。
メラトニンとは?
次にメラトニンですが、夜、眠くなるのはメラトニンの働きによるものです。
メラトニンは良い睡眠に不可欠で、夜になると徐々に分泌が増え、夜中に最大となります。
メラトニンは暗い環境でより多く分泌され、脳深部の松果体という部位から分泌されますが、目から入った光は、松果体に作用して、メラトニン分泌を減らしてしまいます。
なので、夜に明るい光を浴びることや明るい場所で眠ることは、メラトニン分泌を減らし良い睡眠を妨害してしまうわけです。
昼夜逆転生活で、明け方に寝て、昼過ぎに起きるような生活をしていると、睡眠中にメラトニンは分泌されていないということです。
そして、メラトニンがたくさん分泌されるためには、メラトニンの材料であるセロトニンが日中にしっかりと分泌される必要があります。
以上がセロトニンとメラトニンの違いになるわけですが、良い睡眠を得るためには、昼間にその材料となるセロトニンをしっかり作っておき、夜のメラトニンの分泌に備えておく事が大切というわけです。
セロトニンの分泌を高める3つの対策
では良質な睡眠を得るために必要なセロトニンを増やすにはどういった方法があるのでしょうか。ここではセロトニンの分泌を高める3つの対策についてご紹介します。
朝日をしっかり浴びる
日光を浴びるタイミングとしては、起床直後から30分までが重要ですので、やはり朝日を浴びるのが効果的です。
時間的には一日15分~30分ほど日光に浴びることを意識すると良いでしょう。
また、朝浴びる太陽光は、体内時計を調整する働きもあります。
24時間より少し長めに設定されている人間の体内時計は、2500ルクス以上の明るい光を浴びると短くなり、リセットすることができます。
ウォーキングなどのリズム運動
セロトニンはリズミカルな運動によって活性化されるという特徴もあります。
同じリズムで運動を反復して行うと、セロトニン神経を刺激して覚醒状態を高める効果があり、基本的なリズム運動としては歩行運動、食事をする時の咀嚼、深呼吸などがあります。
また、リズミカルな部分にとらわれない運動の中で効果的なのは、単調な有酸素運動です。
例えば水泳やサイクリング、ランニングなどの単調に身体を動かし、長い時間継続する運動がおすすめの有酸素運動です。
美味しいものを家族や友人と一緒に食べて幸福感を味わう
セロトニンは美味しいものを食べたときなど、幸福感を味わったときにも増えるといわれています。
家族や友人など気の知れた人たちとランチをしたり、一緒に幸せな気持ちを共有できるような機会を作ることでセロトニンを増やしていきましょう。
また、「グルーミング」と呼ばれる「人と触れ合う」ことでセロトニンを増やすという方法もあります。
トリプトファンを摂取する方法
セロトニンを作るための素材として、必須アミノ酸のトリプトファンが必要となるのですが、トリプトファンは体内で生成できないので、食事から摂らなければなりません。
食べ物から摂取したトリプトファンは、昼間のうちに脳内でセロトニンへ変化し、夜になると良質な睡眠を得るために必要なメラトニンへと変わります。
つまり、不眠症で悩んでいる方や寝付きが悪い、しっかり眠れないといった方はトリプトファンを十分に補ってあげる必要があるのです。
摂取量の目安は、体重1kgあたり2mg程度なので、体重が50kgの方の場合は100mgとなり、糖質、たんぱく質、脂質を代謝・分解する上で必要なビタミン(ナイアシン)の合成も行います。
トリプトファンが多い食材
では、どういった食材であれば、効率よくトリプトファンを摂取できるでしょうか。ここではトリプトファンが多く含まれた食材をご紹介いたします。
まず、トリプトファンが含まれる食品としては、チーズや牛乳といった乳製品、豆腐・納豆・味噌・しょうゆなどの大豆製品などがあります。
また、栄養素でいえば、マグネシウムやナイアシン、ビタミンB6を含んだ食材もセロトニンを摂取しやすいです。
その他、ごま・ピーナッツ・卵・バナナや肉や魚にもトリプトファンが多く含まれますが、動物性たんぱく質に含まれるBCAAというアミノ酸はトリプトファンを脳へ取り込みにくくするため、植物性たんぱく質から摂ることをおすすめします。
ただし、基本的に偏った摂取の仕方はあまりおすすめできませんので、バランスよく主食・主菜・副菜を揃えて食事をすることで、必要とされるトリプトファンは摂取できます。
日常で不足気味だなと思う場合は、サプリメントで補うこともできます。